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季節の健康トピック

新型コロナ感染症4◎PCR・抗原・抗体検査の違い

新型コロナウイルス感染症の検査には、PCR検査と抗原検査、抗体検査という三つの種類があります。それぞれ手法が異なるため、検査の精度や結果が出るまでに要する時間、コストなども違います。

PCR検査では、鼻の奥から採取した鼻咽頭ぬぐい液や唾液を用いて、新型コロナウイルスに特有の遺伝子配列を調べます。現段階でPCR検査は、新型コロナウイルス感染症の診断に最も有用とされています。ただし特別な機器や試薬が必要であり、臨床検査技師にも一定の技量が求められるため、実施できる施設が限られます。また、他の検査に比べ結果が出るまでの時間が長く、4〜6時間かかることも特徴です。

新型コロナウイルスのPCR検査では、感染していない人が陽性と判定されることはまれですが、感染していても陰性と判定される例が少なくありません。これを「偽陰性」と言いますが、その割合は3割程度とされています。ですから、感染者との濃厚接触があった人や感染を疑わせる症状がある人は、たとえ陰性であっても感染の可能性を念頭に置き、他人との接触は極力避けるようにすべきでしょう。

なお、PCR検査は遺伝子配列を調べる検査であるため、感染から一定の時間がたってウイルスが活性を失っている、つまり感染力がなくなっている状態でも陽性と判定される可能性があります。このことは、陽性と判定された人の隔離が必要以上に長引く要因ともなっており、PCR検査の限界を示すものと言えそうです。

PCR検査よりも手軽な抗原・抗体検査

抗原検査もPCR検査と同様、新型コロナウイルスに感染しているかどうかを調べる検査です。鼻咽頭ぬぐい液を用いる点も同じですが、抗原検査では遺伝子配列ではなく、ウイルスに含まれる特定のタンパク質(抗原)の有無を調べます。日本では2020年5月に初めて、新型コロナウイルスの抗原検査キットが承認されました。

抗原検査の最大の特徴は、特別な機器や試薬を必要としないため低コストで、30分程度で結果が得られる簡便な検査であることです。その半面、精度の面ではPCR検査に劣り、偽陰性となる割合が高いことが知られています。ただし、陽性と判定された人はほぼ確実に感染者と判断できるので、PCR検査を行う前の段階で感染者を拾い上げるのに適しています。

一方の抗体検査は、その時点で新型コロナウイルスに感染しているかではなく、過去に感染していたかどうかを確認する検査です。ウイルスなどの異物が体内に侵入すると、それを排除するために体内では抗体という物質が作られます。抗体検査では少量の血液を採取して、この抗体の有無を調べます。

ウイルス感染症の中には、抗体ができれば再感染しない疾患もありますが、新型コロナウイルスがそうであるかはまだ分かっていません。このため新型コロナウイルスの抗体検査は、個人が受ける例は少なく、感染の広がりを把握するための疫学調査などに活用されているのが現状です。

日本での新型コロナウイルスの検査は、これまでPCR検査がほぼ100%を占めていましたが、徐々に抗原検査や抗体検査も行われるようになってきました。今後は、それぞれの特徴を生かした検査の使い分けが進んでいくものと思われます。


新型コロナ感染症3◎かぜに似た症状が長く続く

新型コロナウイルスに感染すると、9割の患者に発熱が、7〜8割の患者に咳が現れます。また、倦怠感(だるさ)や痰も3〜4割の患者にみられます。数はあまり多くありませんが、関節やのどの痛み、頭痛が現れることもあります。これらはかぜやインフルエンザの患者でもみられるため、症状だけで新型コロナウイルス感染症かどうかを判断することは困難です。

ただし、新型コロナウイルス感染症の場合は、上に挙げた症状が長引くのが特徴です。かぜやインフルエンザの症状は数日で治まることが多いのですが、新型コロナウイルス感染症による発熱や咳などは、1週間ほど続く例が多いことが分かっています。

また、食べ物の味を感じなくなる味覚障害や、においを感じなくなる嗅覚障害が現れることも、新型コロナウイルス感染症の特徴となっています。これらの症状は、比較的若い人や女性に発生することが多いようです。

このほか一部の患者では、血管内に血栓(血の塊)ができて、脳梗塞や深部静脈血栓症といった病気を引き起こすことも知られています。2020年4月には、新型コロナウイルスの感染が分かったものの、軽症だったため自宅待機を指示されていた患者が突然死するという事例が報道されました。その原因として、血栓の関与を指摘する専門家もいます。

8割は軽快するが2割が重症化して入院へ

新型コロナウイルスに感染した患者のうち、約8割は軽症のまま治ってしまいます。しかし残りの2割は、かぜやインフルエンザに似た症状が続いた後に、激しい咳や息切れが現れるなど肺炎が重症化して入院治療が必要となります。そのうち4分の1は、人工呼吸器を装着しての集中治療が必要になると言われています。

では、新型コロナウイルス感染症は、どのような患者で重症化しやすいのでしょうか。

まず挙げられるのが高齢者です。高齢であればあるほど重症化しやすく、死亡率も高くなることが分かっています。厚生労働省が発表しているデータ(2020年6月3日集計分)によれば、新型コロナウイルス感染症の死亡率は全体では3.7%にとどまりますが、70代では10.2%、80代以上では19.9%にも上ります。

また、持病を持つ人も重症化しやすいことが分かっています。特に、重い心臓病にかかったことがある人、糖尿病や高血圧の患者、慢性閉塞性肺疾患(COPD)や気管支喘息の患者、抗がん剤や免疫抑制剤を投与されている患者、透析患者などで、新型コロナウイルス感染症が重症化しやすいとされています。

こうした重症化しやすい条件に当てはまる人は、外出や他人との接触を最低限にとどめるなど、より徹底した感染予防策を取る必要があります。


新型コロナ感染症2◎主な経路は飛沫・接触感染

新型コロナウイルスは、インフルエンザウイルスなどと同様に、口や鼻、目などの粘膜から感染することが知られています。

学校や会社、電車内など、人が集まる場所で感染者が咳やくしゃみをすると、ウイルスが飛び散って周りの人の口や目などに入って感染します。これを「飛沫感染」といいます。マスクをしていない人が咳をすると、飛沫は1.5〜2mほど飛び散ることが分かっており、「ソーシャルディスタンス(社会的距離)」確保の重要性が強調されているのはこのためです。

もう一つの主な感染ルートが「接触感染」です。新型コロナウイルスに感染した人が電車のつり革やドアノブ、電気スイッチ、エレベーターのボタンなどに触れると、そこにウイルスが付着します。それを別の人が触るとウイルスが手や指に付き、手洗いや消毒をしないまま口や鼻に触れることで感染します。人は1時間に20回近く顔を触るといわれていますので注意が必要です。

この他、密閉された空間などで、ウイルスを含む微小な飛沫が空気中を漂い他人を感染させる「エアロゾル感染」の可能性も指摘されています。ただし、エアロゾル感染については様々な見解があり、発生する状況は限られているとする見方が多いようです。新型コロナウイルスの感染経路は、「飛沫」と「接触」がメインであることは間違いありません。

まずは石けんでの手洗い徹底を

新型コロナウイルスの接触感染の予防に最も効果があるのは手洗いです。流水と石けんを用いて、最低でも30秒、できれば1分くらいかけて行うとよいでしょう。手洗いの際には、石けんをしっかりと泡立てて、指の間、指先と爪の間、手首までくまなく洗うようにします。外出から帰った際は、必ず手洗いすることを習慣づけましょう。

アルコール消毒も、接触感染の予防に有効です。石けんでの手洗い後や、外出先で手洗いができないときなどに、アルコール消毒を行うと効果的です。市販の消毒液やジェルにはアルコール濃度を明記していないものもありますが、十分な感染予防効果を得るには、濃度70%以上の製品を選びたいところです。

一方、飛沫感染の予防には、換気の悪い密閉空間、多数が集まる密集場所、間近で会話や発声をする密接場面という「3密」を避けることが大事です。感染者のクラスター(集団)は、3密の条件がそろう場所で発生していますので、これらを避けて生活することを心がけましょう。

このほかマスクの着用や咳エチケットの励行も、飛沫感染の拡大防止や予防に効果があります。ただし、マスクは正しく使わなければ効果を期待できません。顔の大きさに合ったサイズを選ぶ、上部の針金が入った部分を鼻の形状に合わせて隙間ができないようにする、鼻や顎まで覆う、着用中は表面を触らない、不織布のマスクは再利用しない、といった注意点を守るようにしましょう。


新型コロナ感染症1◎軽症者を通じて感染が拡大

新型コロナウイルス感染症が猛威を振るっています。2020年5月に入ってからは先進国では減少に転じ、日本でも5月25日に緊急事態宣言が解除されましたが、一方でロシアやブラジルなどの新興国では感染者が急増しており、アフリカでの感染拡大も深刻化しています。世界的に見れば新型コロナの脅威は、収束したとはとてもいえない状況です。

感染者数がひとまず減ったことにより緊急事態宣言が解除された日本も、決して安心はできません。経済活動の再開により、人と人との接触が増え、再び新型コロナの流行を招く可能性があるからです。有効な治療薬やワクチンが存在しない今の状況では、第2波の到来に備え、感染の予防を徹底していく必要があります。

有効な治療薬やワクチンの登場は、早くても2020年秋以降になるとみられており、新型コロナとの闘いが長引くことは確実です。その闘いにおいては、敵であるウイルスを知り、有効な対策を取っていくことが欠かせません。

コロナウイルスには7つの種類が

表面の突起が太陽の光冠(コロナ)に似ていることからその名が付いた「コロナウイルス」。人間に感染するコロナウイルスには、7つの種類があります。そのうち4つは既に広く蔓延しているウイルスで、いわゆる「かぜ」を引き起こします。これらのウイルスによるかぜで患者が死に至るケースは、ほとんどありません。

これに対し他の3つのウイルスは、動物から人間に感染して重度な肺炎を引き起こすのが特徴です。2002年に流行したSARS(サーズ:重症急性呼吸器症候群)や、2012年に話題となったMERS(マーズ:中東呼吸器症候群)は、いずれも動物由来のコロナウイルスによるもので、多数の死者を出しました。SARSの致死率は約10%、MERSの致死率は約35%にも上ったことが分かっています。

そして今回、話題になっている新型コロナウイルスは、SARSの仲間と考えられています。SARSと同様に重度の肺炎を引き起こすことがありますが、このウイルスによる感染症の致死率は7〜8%程度。SARSやMERSほど高くはありません。

ただしやっかいなのは、ウイルスに感染しても約8割の患者は症状が軽く、感染に気づかないケースが多いことです。感染後に重症化しやすいSARSなどと異なり、軽症の患者が外出したり人と接触したりすることで感染を広げてしまう可能性が高いのです。新型コロナウイルスに感染した1人の患者が他に感染させる人数は、インフルエンザの約2倍に達するという報告もあります。

一方、残りの約2割の患者には、急激に症状が悪化する例が少なくないことも新型コロナウイルス感染症の特徴です。特に高齢者や、高血圧や糖尿病などにかかっている人、がんや関節リウマチの治療で薬物療法を受けている人は、重症化しやすいので注意が必要です。


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